肩が痛くて腕が上がらない!
五十肩になると肩の痛みやこわばりで腕が上がらない状態になることがあります。ここではどうして五十肩は腕が上がらない状態になるか解説していきます。
もくじ
五十肩とは?
五十肩の医学的な病名は肩関節周囲炎といいます。
五十肩の概要についてはこちらのページにもまとめてありますのでご覧ください。
肩関節拘縮とは?
- 関節が動かなくて腕が上がらない
- 髪の毛が洗えない
- エプロンのひもが結べない
- ベルトが通せない など
五十肩になる肩の関節が硬くこわばり、動かない状態になります。これを拘縮(こうしゅく)といいます。
肩関節のしくみ
まずは肩の関節のしくみから見ていきましょう。

肩の関節は主に肩甲骨と上腕骨から構成されます。正常な肩の関節はぐるぐると腕を回せるくらい自由度の高い関節です。

肩を動かす時に肩甲骨が背中(胸郭)をスライドするように動くため肩甲骨と胸郭の間にも関節構造があります。

肩関節を動かすしくみ

腕をいろんな方向に動かせるように、肩にはたくさんの筋肉があります。また、関節を支えつつ、スムーズに動かすための関節包、靭帯、滑液包などの組織があります。

肩関節はたくさんの筋肉や靭帯などの組織によって構成され、「丈夫だけどいろんな方向に動かせる」柔軟な関節構造です。なので一カ所でも不具合が起こると滑らかな肩の動きが妨げられ、痛みや不調の原因になります。
検査は異常なし?

レントゲン検査は異常がない
五十肩の場合、肩が痛くなって病院でレントゲン検査を受けても骨に異常がないケースがほとんどです。なぜなら五十肩では筋肉や関節包、滑液包などレントゲンには映らない軟部組織に異常が現れるためです。

でも検査は受けましょう
レントゲンの検査で異常が見つからないからといって、検査を受けなくて良いわけではありません。レントゲンの検査をして石灰沈着性腱板炎や変形性肩関節症などの疾患を除外する必要性があります。また、リウマチをはじめ膠原病による関節炎などの可能性も含めて医療機関で検査してもらうことをおすすめします。
五十肩の症状の経過
人によって痛みの続く時期や拘縮の程度はさまざまですが、五十肩(肩関節周囲炎)になると一般的に以下のような経過をたどります。

痛くて固まる【炎症期】
肩の炎症からくる鋭い痛みが強く、痛みで肩の関節が動かしづらいなどの症状があります。夜中に肩が疼いて眠れない、目が覚めてしまう夜間痛が出ることがあります。
固まって痛い【拘縮期】
筋肉の硬さやこわばりが強く、無理に動かそうとすると痛みがでます。関節包がちぢこまったり、滑液包が癒着(ゆちゃく)を起こし動きの制限(関節拘縮)がもっとも強くなります。
だんだん動く【回復期】
炎症による痛みも筋肉のこわばりからくる痛みもやわらぎ、だんだんに動かしやすくなってきます。
五十肩が固まる原因
五十肩の関節拘縮は以下のような経過で起こります。
肩の炎症が起きる

五十肩(肩関節周囲炎)は炎症期から症状がはじまります。しかし、その引き金となる肩の炎症がどうして起こるのか未だ解明されていません。肩の関節はからだ中の関節の中でも自由度が高く、骨以外の筋肉や関節包など軟部組織によって主に支えられているため、構造上ストレスがかかりやすいため摩耗しやすいと考えられています。
肩の筋肉が硬くなる

炎症が引き金になり、肩の筋肉が防御反応で緊張し、硬くこわばってきます。関節の周りの筋肉が固まり出すと、腕や肩甲骨の周辺、首すじの方まで筋肉のこわばりが広がることもあります。
肩の関節包が硬くなる

正常な肩関節は関節包に「ゆるみ」があるために、腕をぐるぐる回してもスムーズに動かせます。しかし肩の炎症や筋肉の緊張によって関節の動きが少なくなると、関節包は縮んで硬くなり、関節の動きがかなり制限されることで関節が拘縮します。
五十肩で体ががゆがむ!?

症状の経過は人それぞれですが、五十肩の拘縮期になると左右の肩の高さに違いが出たり、姿勢がゆがんだような状態になります。拘縮した肩関節周囲の筋肉が縮こまったり、肩の痛みをかばう生活を強いられるため、だんだんに姿勢がのゆがみにつながります。この姿勢のゆがみもさらに肩関節の動きの悪さ(拘縮)に影響してきます。
五十肩の関節拘縮まとめ
五十肩は鋭い痛みや肩のこわばりや動かしづらさなどの症状に苦しめられます。まずは医療機関で肩の痛みの原因をしっかりと検査してもらうことをおすすめします。とくに肩の動きが制限される拘縮期は痛みやこわばりがつらい時期ですが、現在の症状に対して一番適切な治療やリハビリを受けながら、ケア方法を身につけて五十肩をしっかり治していきましょう。
五十肩のリハビリについてはこちらのページにまとめてありますのでご覧ください。